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新しい“当たり前”が地球規模の「幸せなループ」を生み出す(後編)

こちらは対談の【後編】記事です。【前編】記事はこちらからご覧ください。

“持続可能な、ずっと続けていくことができる”というのがもともとの意味である「サステナブル」という言葉。昨今では社会活動としても欠かせないキーワードとなっています。
「自然環境保護や社会問題の解決により、経済や社会を持続させる考え方」がサステナブルの定義ですが、どんなことがサステナブルで、何をしたらいいのか理解を深められていない人も多いのではないでしょうか。SDGsとも密接な「サステナブル」について、これから私たちはどう考えていくことができるのか―。
そのヒントを探るべく、今回はキュレーターとして事業を見据えた活動を推進する、みなみなおこさんと、企業広報で環境問題や資源について興味を持ち、個人的に活動も行うミネミキコさんのお話に耳を傾けました。

ナオコ_プロフィール

みなみ なおこ
神奈川県鎌倉市在住。主に製造業の事業や商品のブランディング・コンサルタントの本業に加え、レスプラスチックやアップサイクルに興味を持ち、「サステなブルキュレーター」として自ら実践しながらInstagramやYoutubeで積極的に情報発信を行う。サステナブル事業の立ち上げも目指している。

ミキコ_プロフィール

ミネ ミキコ
熊本県南阿蘇村出身。大学時代のフェアトレードに関する活動を通して、環境や食の問題に興味を持つようになる。製紙メーカーでの企業広報の経験からサーキュラーエコノミー(循環型経済)にも関心を持ち、学び続ける日々。

サステナブルが日常にハッピーを循環させる

なおこ 最近考えるのが、循環型のビジネスモデルって全員が本当にハッピーにならないと成立しないってことなんですよね。製造業側も消費者側もメリットがあって、流通させる人もメリットがないと循環型モデルって難しい。みんなにメリットがあるから回って、継続するわけで。どこかが損をしていると、途端に成り立たなくなってしまう。

ミキコ そうですね。やっぱり持ちつ持たれつみたいなところは正直ありますよね。一時的な痛みも誰かが享受するみたいなことをやらないと、長くは続かないと私は思います。いろんなステークホルダーがいて、お互い信頼関係の上で成り立つものだから、それを新しく構築ということがどれだけ大変なことなのかと感じますね。循環ってなると回収がネックになる。

なおこ そう、そこだと思う。回収なんですよね、鍵は。

ミキコ 回収という点で、民間でうまくいっているのはオリエンタルランドだと思います。パーク内で出たごみの分別だったり、回収だったり、リサイクルっていうのをきちんと業者さんと連携してやって、自分たちの中で循環させているそうです。
またスターバックスコーヒーも、牛乳や豆乳のカートンを店舗スタッフの方が洗って、きちんとリサイクルして、それを回収した後にスターバックスオリジナルノートなども作っていますし。やっぱりスタバのブランディングはめちゃくちゃすごいなって思います。

なおこ すごいですね。

ミキコ それをファンの人が買うっていう、ハッピーな構図ができている

なおこ なるほど。

ミキコ そこにはデザイン性も大事だし、オリエンタルランドもそうだと思うんですけど、ファンがいて循環していく部分も大事ですよね。

なおこ 確かに、そうですよね。

 子どもたちにとっての「新しい常識」を作り出す

―みんながハッピーに循環していけるように、私たちができることってどんなことがあるのでしょうか。

ミキコ 身近なところでサステナブルを意識してもらえるように、リサイクルの仕組みをもっと知ってもらうように活動していけたらな、と思います。
紙パックの話になりますが、最近だとストローがなくても飲める牛乳パックがリリースされ、高知県の乳業メーカーで採用が決まったというニュースを耳にしました。学校で使われれば教育にも繋がるし、子どもの頃からストローがない紙パックで牛乳を飲むことが習慣になれば、その子たちにとってはそれが当たり前になるので。私はこの紙パックの変革のように、プロダクトの見直しが世の中の仕組みづくりを変えることができると信じています。なおこさんはいかがですか?

なおこ 私が考える理想のモノの循環というのは、やっぱりシンプルに「使い捨てのない世界」。買った瞬間からパッケージがごみにならずにそのまま冷蔵庫に入れられるような買い方を私自身普段からしているんですけど、ごみが出ないことがとにかく気持ちいいっていう、ただそれだけですね。自宅から自転車で行ける距離での買い物は、全てパッケージフリーにしていけると思っています。昔ながらの商店街にお買い物に行くような、サザエさんのような年代の社会が理想に近いのかもしれません。

ナオコ_マイバッグイメージ

「新しいこと」を恐れずにトライする推進力

―お二人が消費者や周りの人に情報を伝えるときに、どんな視点や手段を意識していますか?

ミキコ 「実際はどういう風にリサイクルされているんだろう」とか「どう原料になっているのだろう」とか、仕組みを知らない人って本当にたくさんいると思うんです。だから、知られていないことを少しでもクリアにしていくことが大事だと。それはリサイクルに限らず何においても、裏側にあるストーリーや、どんな思いが込められているのか、といった視点を伝えられるように意識しています。
特に、Z世代と呼ばれるデジタルネイティブな若者世代は、モノを買うことに対するこだわりがあるように感じていて。それは決して高価なものを買うというわけではなく、「どんな資源で」「どんなふうに作られたのか」とか、そんな視点で見ている若者が多い気がします。最近はその世代の人たちとコラボレーションして何か新しい発信の方法を探していきたいと考えています。

なおこ 何か具体的に取り組んでいることなどあるんですか?

ミキコ コラボレートの話でいうと、これも前職での話になりますが、映像作家・ジャーナリストである小西遊馬さんと知り合ったことを機に、一緒に紙の生産拠点を見学し、小西さんの言葉で若い世代に「製紙業ってどういう取り組みをしているのか」というのを発信してもらう企画をしました。昨年はオンラインで開催された「エコプロ」という展示会でYouTubeを通してセミナーも開催したのですが、工場を見て感じた率直な思いや気付きをディスカッションしてくれて、第三者の目で、しかも若者が見た事実を社内の人にも、生活者にも伝えるきっかけになったのではないかと。これまであまり関係のなかった人を仲間にし、コラボするということも、持続していくための選択肢の一つとして、これからの可能性を大きく秘めているなと思っています。

ミキコ_学生さんとの取材

なおこ すごくいいと思います。そうすることで自分の魅力、業界の魅力も再発見できますよね、絶対に。

ミキコ そうですよね。小西さんに「SNSってあなどれないんですよ」と言われて。それは社内からは出なかった新しい視点でした。

なおこ 日本企業の多くは、あまりSNSを利用していないところが多いですよね。

ミキコ そうですね。リスク回避の側面もありますし、何よりSNS運用は継続することが難しいと思います。

なおこ 結局、広報宣伝をSDGsに変えただけみたいになっているのは、私はどうしても嫌で。誰も何もスタートしない限り、地球規模で変わることはないから。本気でやる、取り組む企業が出てこないとだめだなって思うんだけど。

ミキコ そうですね。でも現実的に、資本主義経済において利益の追求も大事ですしね(笑)やはり、行政や国など政治的な舵取りがないと難しい気もしています。例えば補助金などの仕組みの中で、、資源回収でも何かしらのサポートがないと企業も動きにくいかと。。行政の巻き込み方も今後は課題になってくるのかなと思います。

なおこ そうですね。私がやりたいと思っているスチールを活用したリユースの事業があるのですが、鎌倉市の助成金とかを動かしていかないとだめかな。容器を使ってくれたら、パートナーになってくれたら助成金、みたいなことができたらいいなって思っています。じゃないと2、3店舗ぐらいがやったって何のインパクトもないじゃないですか。

世の中が「サステ」な暮らしになっていくために

―今後チャレンジしたいこと、考えていることがあったらおしえてください。

ミキコ 良い面も悪い面も知ってもらうきっかけ作りみたいなことをやっていくことが、どの産業においても大事なのかなと思っています。次世代のために今何ができるのか、今活躍できる世代が考えなきゃいけないし、そこを問題提起していくべきですよね。それと、自分がやっていることを個人レベルでも公開して「つながろうとする意識」を持つことはすごく大事なのかなって思います。やっぱり、興味を持って知ることで自分がどう生きていきたいのかとか、何に興味があるのかとかを知ることができるとすごく思っていて。他の人と話したりすることで知らなかったことを知って、それを自分がどう咀嚼していくか。そんなことを考え続けることがやっぱり大事なんじゃないかなって思っています。
そしてサステナブルを実現するためには人と人とのつながりによって、知見を広めたり、自分の疑問を解決するためにいろんな人の話しを聞いたり、自分の中でアウトプットしてインプットする、繰り返しを続けることがまずは重要なのかなと思っています。なおこさんはいかがですか?

なおこ ミキコさんのお話に共感することがたくさんあって。伝えて、知ってもらわなければ始まらないという思いは同じですね。
私は「サステなブルキュレーター」の仕事として2つのアプローチをしているのですが、一つは、 “ライフスタイルメディア”と銘打って「モーニングバトン」をSNSで発信していて、使い捨てを減らすという方法でプラスチック問題を解決していける手段を伝えています。消費者にとって日常が便利で素敵になるようなレスプラスチックのアイデアを朝だけ、朝の習慣を変えるというところに特化して発信し続けていくことですね。

ナオコ_レスプラスチックイメージ

ミキコ なおこさんのサステ情報をルーティンにしてしまうんですね!

なおこ そうなんです。プラスチックをゼロにすることは無理なんですよ。なので、「生活のルーティンをちょっとプラスチックじゃないものに変えてみたらどうだろうか?」と考えました。私自身、歯磨きや洗顔に使う原料を意識したり、マイボトルを持ち歩いたり、できるだけプラスチックを使わない方法を試しているうちに「あ、これ結構網羅できるかも」って自分自身が感じて始めました。生活全体のプラスチックごみの30%減らせるんじゃないかなと。個人でも毎週出すごみが30%減るのは大きなことで、100万人の人がそれをやると、大きなソーシャルインパクトになるし、少しでも減らしていけたらと思っています。

ミキコ 素晴らしいですね。周りの反応はいかがですか?

なおこ やり始めたことを皆さんが興味を持ってくれて、私の拙い投稿を見て「ちょっと変えてみたらすごく良かったよ」と言われる機会が増え、コメントもいただいています。今まで付き合いがなかったおじさんから「僕も影響受けちゃって使っているんだよ」と、SNSで紹介したことについて話題にしていただくことも。私の投稿を見て変えてくれたんだ〜と思うとなんか嬉しいですし、会うたびに「すみません。ペットボトル使っていて」みたいなこと言われることもあります(笑)。まずは、小さなことから始めてみる。それが大きなことにつながると思っています。

ミキコ そんなふうに反応してくれたり、身近に感じてくださると、嬉しいですね!やりがいにもつながりそうだし、素敵な波及効果が感じられます

ナオコ_モーニングバトン_生ごみの再利用

ところで、なおこさんの「サステなブルキュレーター」という肩書きが気になっていたんですが、ご自身で命名されたんですか?

なおこ はい。実は、「サステな」の「な」の部分はひらがなにしているんですけど、これには「完璧じゃない」って意味を込めていて。

ミキコ へ〜! 深い!

なおこ 私自身がそうなんですけど、サステナブルのこと以外でも、何か新しいことを始めようって思った時に「完璧にここまでやらないと」とか「やっぱりちゃんと学んでからじゃないとやっちゃいけないのかな」という気持ちって、日本人は持ちやすいと思うんです。私はまったくの初心者の時からサステナブルなことについて発信を始めたんですが、未完成であることがとても重要なことなのかなと思っていて。10点のまま、それを100点っぽく言うのはいけないと思うけど、今自分にとって100点のうち10点ぐらいしかできていなかったとしても、「10点なんだ」という未完成のうちからできることをやっていく。そしてそれを自分はどう感じたのかとか、そういったことを発信するほうが、今の時代には合っていると思うんです。だから「ここまで行かなければ発信してはいけない」とか、「ここまでいかなければプロと言ってはいけない」と迷うよりも、サステナブルに関しては少しでも多くの人が実践して情報発信してくれたほうが結果的に地球環境にはいい。一刻でも早くアクションを起こしたほうが良いに決まっているわけだから、私は誰でも興味があればいつでもすぐスタートしたほうがいいかなって思っています。実践しながら100点に近づいていけたほうが、モチベーションと自分自身の成長にもつながると思っています。

ミキコ なるほど。小さなことから情報発信しながらご自身も成長していく、素晴らしい考え方ですね。

なおこ 私が中途半端で未完成でも発信したからこそ、少なくともその周りの人たちが喜んでくれたり、楽しい気持ちになってくれたり、そういうことがとても意味のあることだと、ミキコさんと今回話して思えたので、もしなにかそういう興味がある人は今すぐ行動してもらえたらいいなって思います。

ミキコ 少しずつ、まずは知ってもらうこと。そして小さなことから行動することが第一歩につながりますね。毎日の暮らしの中に、”当たり前”にサステナブルが生活に浸透していきますように。

なおこ みんなで楽しみながら推進していきたいですね、ぜひコラボしてアクションを起こしていきましょう。

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【「肩書き」を通してその仕事をのぞくと、肩書きに捉われない「働く」の動機と本質が見えてくる。】 『THE JOB』は、現代の働き方や生き方のヒント・アイデアをお届けするメディアです。あなたの当たり前が、私の発見になる。そんな気付きのバトンを回していきます。