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やりたいことへの可能性は無限大。学生が思い描く「人をつなぐ場づくり」とは。

今考えていること、興味のあること、これから目指すこと―。まったく別のジャンルを学び、これまで接点のなかった学生が考えていることをかけあわせると、どんな化学反応が起こるのでしょうか。
今回は、スペースデザインカレッジ(取材時)の柳鶴伸子(やなぎつる のぶこ)さんと、商学部でビジネスを学ぶ松尾綾(まつお あや)さんの初対面でのトークで、これから進みたい道に“ある共通点”が見えてきました。

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柳鶴 伸子(以下、つるちゃん)
保育士を経験したのちに、スペースデザインカレッジにてインテリア・建築を2年学び、2021年春からインテリアデザイナーとして都内リノベーション会社に就職が決まった異色の経歴の持ち主。保育士での経験を生かし、人と人が心地よく過ごせる場所をデザインする夢を追い続けています。

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松尾 綾(以下、あやちゃん)
西南学院大学の商学部でビジネスや経営について学ぶ。途中オーストラリアへ2年間留学の経験あり。また、レストランやホテルでのアルバイトの経験で見えてきたことや感じたことを通して、これからやりたいことを模索中。

今、学生が考える「〇〇のための場づくり」

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ーつるちゃんはこの春卒業でいろいろとお忙しいと思いますが、最近はどんなことに興味を持って動いていましたか?

柳鶴伸子さん(以下:つるちゃん) 卒業課題でも扱った、ホテルの設計ですね。東京のホテルぐらいしか見てまわれていませんが、ホテルという場所は居心地のいい空間ではあるけれど、旅行ではあくまで観光がメインで、ホテルは二の次だと思っていました。ですが、時代とともにホテルの形も変わってきたと感じていて。今、みんなと過ごすことがますます重要視されるようになったと思います。
それで卒業制作では「訪れる人のための場づくり」という機能を宿泊施設に備えたいと考え、「誰かと“時”を過ごす」ホテルというコンセプトにしました。

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パーティーや結婚式、同窓会など、誰かと過ごすことに利用してもらえるような場、コミュニティデザインがなされている場であり、私にとってホテルが、誰かと時を過ごすための、訪れる人のための場づくりだと考えています。
あやちゃんはホテルで働いたことがあると聞きました。

松尾綾さん(以下:あやちゃん) そうなんですよ。大学1年の春休みに、東京のゲストハウスでスタッフをしていました。「SANU」や「K5」を作った本間貴裕さんが当時代表を務めていたBackpackers Japanの第一号店である、鶯谷の「toco.」という場所でスタッフをしていたことがあります。
その頃私は、ゲストハウスとホテルは同じものだと捉えていて。「東京に観光に来る人が宿泊する場所」という認識で働いていたんです。
「toco.」では、夜になると宿泊客以外も利用できるバーになるんですけど、そこで見たのは、近隣に住む人たちが宿泊をするのではなく、宿泊者と交流をするために来るという場になっている光景だったんです。私が今まで捉えていた「宿泊の場」のイメージとはかけ離れた空間でした。その“場”では、観光ガイドに載っているものとは別のディープな情報を、東京の人からゲストが直接聞くことができて、その情報をもとに観光する旅の拠点になっていたんですよね。
ただその交流の中で観光に対する情報はごく一部で、国や地域の知らない情報のやりとりや考え方などの”交流の場所”のような感じになっていて。ただの飲み会でもない別の交流の形で、外から来る人たちとの交流の場所になっているということを知り、それがとても衝撃的でしたね。

つるちゃん いいですよね、そういうの。

あやちゃん そう。それで「toco.」のような場所を私も体現したいと思うようになって。以前留学でオーストラリアに住んでいたときにも経験した、知らない未知の世界の人たちとオープンに交流できる文化がとても心地よかったんです。
それで、1年間空き家だった長崎の祖父の自宅を使って、ホテルやゲストハウスのような場所を自分で経営してみたいという野望につながり、その家を宿泊施設にする計画を進めています。

つるちゃん すごく楽しそうですよね。

日本人ならではのコミュニティとは?

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ーお二人ともゲストハウスやホテルのことを考えている中で、つるちゃんが言っていた「コミュニティデザインを考える」「目に見えないものを交流する場づくり」というのが、あやちゃんの思いとも共通していると感じました。つるちゃんはホテルの卒業制作の時、建築的な側面からアプローチも考えました?

つるちゃん 目に見えるものも大事だけど、その空気感によっていろんな会話や物語が生まれていく、一瞬ではなく、持続していくことを考えて設計しました。
建物をつくるだけではなく「人を交えたい」と思っているので、あやちゃんが話してくれたような、ゲストハウスに地域の人と観光に来る人が交わってコミュニティが生まれるのはすごく理想的だと思いました。
私も以前沖縄に旅行したときに、ディープな情報を得たかったので現地の人に話を聞いたりしました。そういう場ってなかなかないと思うから、気軽に寄れるところがあるといいですよね。あやちゃんがうらやましい!
海外と日本ではコミュニケーションの場のイメージが異なると思うけど、海外にもそんな交流できる場があるの?

あやちゃん オーストラリアにも、日本でいうゲストハウスのような「ホステル」と言われる場所があって。オーストラリアのホステルでは、プールを囲むように宿泊の部屋が並んでいるんです。大体6~8人部屋で、そこで話していると、外で話そうよ、という流れになり、プールサイドで話しているとどんどん人が増えていくような。時間が遅くなると、そこでお酒が飲めたり。日本人同士での溶け込み方とは違っていて。最初から壁がないような。すごくオープンにしゃべってくれて「誰でもカモンだぜ!」みたいな雰囲気ですよね。

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つるちゃん うんうん。日本人にはないマインドだ(笑)

あやちゃん オーストラリアでは、ホステルに行かなくてもそれがどこでも繰り広げられていたんです。レストランに行っても店員さんが食事を持ってきて、話しかけてくれて。そこまでがサービスなんですよ。それは交流するための場所にわざわざいくという日本のような考え方ではないんだなと思いましたね。

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ーそんな風景を見てきて、日本でも交流を活性化するために何を変えたり、作っていくべきだと思いましたか?

あやちゃん 人によっては人見知りだったり恥ずかしかったりする人もいるだろうから、強制的に海外のスタイルを押し付けるのは少し違うと思っています。だからこそ、私が考えている宿泊施設でも気軽に「自然体でいられるような場所づくり」で交流できる空間ができたらいいな。

つるちゃん 海外にはない、日本人が溶け込みやすい場づくりやコミュニティはありそうですよね。

あやちゃん そう。私がそれをしようとしているのが祖父の長崎の家で。いま一週間に一回くらい長崎に行っているんです。路面電車に乗っていたら、向かい側に座った女性が「今日暑いね」って話しかけて会話がはじまって。これは今住んでいる福岡にはないなーって思いましたね(笑)長崎は人と人が近いのかもと感じました。

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つるちゃん なるほど。長崎の路面電車いいですね。

あやちゃん 映えますよね(笑)

つるちゃん 長崎の路面電車のローカルな雰囲気から宿につながっていくところがまたいいなぁ。

あやちゃん 都会での生活と比べると非日常を感じるものが長崎にはあるので、いい意味でそれを使えないかなと思っています。

つるちゃん 素晴らしいですね。長崎は情緒ある街の雰囲気も素敵だし。

あやちゃん つるちゃんと初めてお話をしたのに、宿泊に対する捉え方でこんなに共通点がたくさんあるなんて!

つるちゃん 私もびっくり。感動しています。

肩書はしぼらない。やりたいことは全部やりたい

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ー宿泊施設を介した交流に興味を持っているお二人の考え方は、学校での学びとは違う側面を持っていると感じました。自分が将来つくりたいものや「こうなっていきたい」というイメージは浮かんでいますか。

つるちゃん このメディア「THE JOB」のテーマは“肩書”だと思うんですけど…肩書…なにになりたいんだろう。正直、まだ決まってないですね。私はいろいろやりたいタイプで、リノベーションも、コミュニティーデザインも、プロダクトにも興味があるので、幅広くやりたいと思っています。そのうち周りが肩書をつけてくれるのかもしれないですよね。今は無限というか、一つに絞り込めない。
将来の夢の中の一つは、保育士の経験を生かして子どもにかかわるような建物などを作りたいと思っています。新しくつくるのではなく、今あるものを工夫して地域で交流できるようなことができたら。

あやちゃん 私は今、商学部で経営を勉強しているんですが、正直に言うと1、2年の頃は年配の教授の講義を受けていても「この人たちが持ってくる情報って一昔前のものじゃないか?」って、ひねくれた考え方でいたんですよ。それを理由に勉強していなかったんです。でも、経営を学べるのは人生においても貴重な学びだと今は思っていて。宿泊施設の経営をしていきたいと思うようになってから、俄然勉強が楽しくなってきました。今学んでいることが現実的に考えられるようになったことで、姿勢が変わりました。
これから先、商学部での学びは、何をやっても今後に繋がるだろうし、宿泊施設の運営をする上で、ひとつの「やらなければならないこと」として学んでいるから、それはすごくよかったと思っています。これから武器になっていきますね。なんでもできるなって。私もつるちゃんと同じで、将来の夢はまだなくて、なんでもしたいです(笑)

つるちゃん 「なんでもしたい!」っていう気持ち、すごくわかります。
なので、たくさんのことを吸収できるように、私はいろんなことを見るようにしています。ホテルの内覧会に行ってすみずみまで寸法を測ったり、美しいディティールを見たり。空間づくりにつなげるようにしています。
あやちゃんはどうですか?

あやちゃん すごく壮大な話になるんですけど「エシカル」な考え方を勉強しています。地球の環境問題の深刻化を不安に感じていて。私たちが50歳になったときに自分がやりたいと思ったことをできるようにするにはと考えると、この地球の環境が悪化することを阻止しなければ、この先行きたいところに行けないとか、「会える」を制御されるのは絶対に避けたい、と。
長崎の宿泊施設でもそういったことを積極的に取り入れたくて。たとえば、リネンを洗う際に化学物質の入っていない洗浄剤を使うとか、アメニティもプラスティックを使わないとか。持続可能なことを目指して自分がゲストに伝えられるものがあればいいなと思っています。それをベースにして、自分たちがやりたいことをやれる、環境を守る活動をしていきたいと思いました。

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ーお二人のお話を聞いて応援したい気持ちが強くなりました。
つるちゃんが言っていた、周りが肩書をつけていくといのは、今の時代そうなのかもしれないと思いました。自分はこうだと思ったことで、定まってしまう選択肢もあると思うから、柔軟なスタンスで自由にやっていくと、今まで見えなかった選択肢が見えてくるんだろうと思います。
今回つるちゃんとあやちゃんがお互いの思いを知ることができたからこそ、よりそれぞれの目指すことがクリアになり、やりたいことを共有できた貴重な機会になったと思います。お二人とも本当にありがとうございました!


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